1. TOP
  2. コラム一覧
  3. 思春期に体重が増えるメカニズムと重要性
Column

思春期に体重が増えるメカニズムと重要性

2025.5.31

 

一般的に、男子は12~13歳ころ、女子は10~11歳ころに身体の成長のピークを迎えるといわれています。

成長が著しい時期の思春期。

男子は中学の頃に身長が急速に伸び、男性ホルモンの分泌も盛んになり筋肉質な体型になり体重が増えます。

女子では小学高学年に成長のピークがあり、さらに中学になると女性ホルモンの作用でふっくらした体型になります。女性ホルモンが急激に増え始める時期、どんどんと大人の女性の身体へと変化し、体重が増えていきます。

体重が増えることは、大人の身体へと成長していくために必要なことなのです。

  

 

●無理な減量やダイエットがもたらす危険

 

この思春期に、痩せているほうがきれい、かわいい、かっこいいなど、「痩せたい」と強く思う方も多いかもしれません。

しかし、男女ともに成長には適度な脂肪が必要です。

栄養素の1つである「脂質」は細胞膜の材料であり、ホルモンの材料になります。特に女の子にとって「脂肪細胞」は、月経を起こす「女性ホルモン」が分泌されるように指令を出す役割を担っており、なくてはならない存在です。

 

 

まだ身体の仕組みができ上がっていないこの時期に、ホルモンの分泌が不十分な状態が続くと無月経を引き起こし、女性らしい体に成長できず将来の不妊につながる恐れもあります。

女性ホルモンは骨の成長にも関わっているため、女性ホルモンの分泌が低下すると十分に骨が成長せず、怪我のリスクが高まったり、将来の骨粗しょう症につながったりする可能性があります。若い人でも無月経が長く続くと骨粗しょう症になることもあります。

 

 

女の子の成長には体脂肪が欠かせないということです。無理な減量やダイエットは今だけではなく、将来の健康状態にまで影響を及ぼします。

男性も、無理なダイエットをすると男性ホルモンが減少し、骨の成長に影響したり、不妊のリスクにつながったりすることもあります。

 

他にも、痩せすぎは病気のリスクが高まります。過度な減量は性別に関わらず注意が必要です。脂肪は悪い物、要らないものというイメージを持っている方も多いと思いますが、身体にとって重要な役割を果たしているのです。

 

 

●太りすぎにも注意!!

 

脂肪が大切と言っても、太り過ぎはよくありません。

肥満は、高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めます。また、これらは動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中となる危険性が高まります。

生活習慣病は、大人だけの問題ではなく子どもでも発症します。

日頃の運動量が少なく、急激に体重が増加すると身長の伸びが止まってしまうことも。ただし、無理な運動を続けてし過ぎると関節への負担が大きくなり、怪我の原因になったりもするので注意しましょう。

 

 

思春期の健康状態は、将来の健康や人生設計にも影響します。

身体の健康をチェックする上で、体重の数値だけではなく身体の組成に着目することが大切です。体脂肪率や筋肉量、できれば骨や血液の状態なども確認しながら、元気な身体をつくりましょう!

 

 

 

▼関連コラム

成長期の女性の身体の変化とは?

成長期にちゃんと成長するための食事

 

 

【参考】

(全て2025年5月30日利用)

●文部科学省
健康な生活を送るために(高校生用)
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/08111805.htm

いま知りたいカラダのこと
https://www.mext.go.jp/sports/content/20210331-spt_kensport01-000011954_PDF9.pdf

女性スポーツ促進に向けた指導者ハンドブック
https://www.mext.go.jp/sports/content/000109668.pdf

●「厚生労働省事業」東京大学産婦人科学講座監修
女性の健康推進室「ヘルスケアラボ」
https://w-health.jp/puberty_trouble/pubescence_diet/

●女性心身医学 Vol. 26, No. 3, pp. 289-293,(2022 年 3 月)
<第 49 回日本女性心身医学会学術集会 思春期のメンタルヘルス>
こうむら女性クリニック 甲村弘子
思春期女性のやせ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/26/3/26_289/_pdf