2025.4.30

カーボローディング(グリコーゲンローディング)とは?
糖質は運動時の重要なエネルギー源となりますが、身体に蓄えられる量には限りがあります。体内ではグリコーゲンという形で貯蔵されており、肝臓に約100g、骨格筋に約400g。骨格筋のグリコーゲンが運動時のエネルギー源として使われ、筋グリコーゲンの減少は疲労に直結することが分かっています。
そこで試合やレース前に、あからじめ筋グリコーゲンを身体に溜めこんでおく方法として考え出されたのが、「カーボローディング(グリコーゲンローディング)」という栄養摂取方法です。
試合の数日前から当日にかけてカーボローディングを行うことで、筋グリコーゲンの貯蔵量を通常の1.5~2倍程度まで増やすことができると言われています。とくに運動時間が90分以上ある場合に、疲労までの時間を延長することや、パフォーマンスが向上することが報告されています。
カーボローディングの実践方法

古典法
試合の6日前~4日前に強度の高いトレーニングと低糖質食(2g/kg 体重/日未満)を実施し、その後試合3日前から高糖質食(8~12g/kg 体重/日)を摂取する方法です。
一旦体内のグリコーゲンを枯渇させ、その後糖質を摂取すると、より多くのグリコーゲンを筋肉に蓄えることができるという理論に基づいた方法です。
しかし、古典法は極端な食事制限による心身のストレスや、試合前のハードなトレーニングによる身体への負担のリスクがあるため、現在はあまり推奨されていません。
改良法
身体の負担をなるべく少なくするために考えられたのが改良法です。試合6日前~4日前は通常の食事の糖質量(5g/kg 体重/日)を摂取し、試合3日前から高糖質食(8~12g/kg 体重/日)を摂取する方法です。またハードなトレーニングの必要はなく、強度を少しずつ低下させていきます。古典法と比較して負担が少なく、グリコーゲンの貯蔵量を高めることができます。
短期法
更に最新の方法として短期法があります。試合2日前から高糖質食(10g/kg 体重/日)を摂取します。トレーニングを十分に積んだアスリートは、筋肉に糖を取り込む能力が高いことが分かっており、その特性を応用した方法です。試合直前まで通常の食事が摂取できるため、改良法よりさらに負担の少ないと考えられています。
カーボローディングの注意点
グリコーゲンは、水分と結合して体内に貯蔵されます。グリコーゲン1gに対して水分は約3g。そのため体重が1〜2kg程度増える可能性があります。大事なレースや試合前にいきなりカーボローディングをするのではなく、体重がどのくらい増えるか、動きにくくならないか、どのくらいの量なら食べられるかなど、実際に何度か試してみて、自分に合った方法を見つけることをお勧めします。
一般的な食品に含まれる糖質量
糖質量が多くなると、3食の食事のみでは摂取することが難しい場合があります。食事で摂り切れなかった不足分は、補食で摂取していきましょう。
カーボローディングはマラソンやトライアスロンなど、持久系の競技で有効と言われています。自分に合った方法を試しながら本番に臨みましょう。また、どのような競技でも日々の食事は大切です。炭水化物(糖質)、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂取し、日ごろのコンディションも整えていきましょう。
▼参考コラム
アスリートに必要な試合日の糖質量とは?
試合の日は何を食べる?!試合日の栄養戦略!
参考
●寺田新,「2024年版スポーツ栄養学最新理論」,㈲市村出版,2024
●寺田新,「スポーツ栄養学 第2版 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる」,(一社)東京大学出版会,2024