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Column

ジュニアアスリートのための栄養戦略

2024.5.20

 
アスリートのジュニア期は成長期であるため、身体の基礎ができる大事な時期です。食事が大事であることは分かっていても、何を食べればいいか、悩む人も多いのではないでしょうか。ジュニアアスリートの食事、栄養補給のコツをご紹介します。

必要なエネルギー量は大人並み!


ジュニアアスリートの1日に必要なエネルギーは、下図のように考えられます。

 

 子どもたちの成長には多くのエネルギーが使われるため、身体は小さくても大人と同等のエネルギーが必要に。さらに、ジュニアアスリートは運動でも多くのエネルギーを消費するため、食事をしっかりと摂る必要があります。必要なエネルギー量は、年齢、性別、体格、運動量によって異なりますが、厚生労働省が策定している『「日本人の食事摂取基準(2020年版)」』の推定エネルギー必要量(kcal/日)は目安量として参考になります。

推定エネルギー必要量(kcal/日)

 身体活動レベルとは、日常の活動強度を数値化した指標です。それぞれ以下のように分けられています。週に1~3日練習がある場合は身体活動レベルⅡを、週に3~7日練習がある場合は身体活動レベルⅢを参考にするとよいでしょう。

身体活動レベル Ⅰ
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合

身体活動レベル Ⅱ
座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合

身体活動レベル Ⅲ
移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合

ジュニア期の食事のコツ


特に意識したい栄養素

炭水化物

 必要なエネルギーを摂取するためには、主食であるごはん、パン、麺などから炭水化物をしっかり摂りましょう。炭水化物は身体の成長や、運動時の主なエネルギー源となり、疲労回復や身体づくりにも必要です。主食のみで摂ることが難しい場合は、おかずにじゃがいも、かぼちゃ、さつまいもなどの芋類を使って工夫してもOK。炭水化物の他にビタミンや食物繊維も摂取できます。まずは主食で摂ることを優先して調整しましょう。


たんぱく質

 たんぱく質は筋肉や骨の成長に欠かせない栄養素。肉、魚、豆腐、納豆、卵、乳製品などから摂取できます。たんぱく質を意識するあまり、おかずを増やし過ぎると脂質も多くなりがちなので、おかずの食べすぎには注意しましょう。肉、魚など調理前の食材が「食べる人の手のひらにのるサイズ」を目安にすると、難しいことを考えなくてもだいたいの量が分かります。


カルシウム

 カルシウムは骨の成長のために大事な栄養素です。汗の成分にも含まれており、運動で発汗量が多くなるアスリートでは身体から失われる量も増えるため、さらに意識して摂取する必要があります。牛乳や乳製品を3食に追加したり、おかずに魚介類や、豆腐、厚揚げ、納豆、油揚げなどの大豆製品を取りいれたりすると、カルシウムを簡単にアップできます。小松菜、切干大根、ひじきなどからも摂取できます。


 成長期は鉄の必要量が多くなることに加え、発汗により体内の鉄を失ってしまいます。運動のパフォーマンスにも影響するため、しっかり摂りたい栄養素です。女性では、月経がはじまると月経血による鉄の損失が大きくなるので、さらに意識して摂りましょう。赤身の肉やレバー、かつお、まぐろ、あさり、かきなどの魚介類、小松菜、ほうれん草、切干大根、ひじき、わかめ、大豆などに多く含まれています。



1日3食しっかり食べる

 必要な栄養素を摂るためには、1日3食しっかり食べることが基本となります。ジュニア期に限らず、朝食を抜いてしまう人も多いですが、身体の土台を作り、ケガなく運動をするためにも1日3食の習慣をつけましょう。朝食を食べることが難しい場合は、何か口にすることからでOK。牛乳やスープなどからはじめ、徐々に固形物が食べられるようにステップアップしていきましょう。



補食を食べる

 3食で必要な食事量が食べられない場合は、補食を摂ります。また練習後、食事までの時間が1時間以上空く場合も補食を入れましょう。おにぎり、サンドウィッチ、カステラ、だんご、牛乳、ヨーグルトなど、炭水化物とたんぱく質を含む食品を組み合わせます。


▼参考コラム
補食はスポーツや身体づくりの味方!うまく活用しよう!




ジュニア期は、身体の土台が作られる大切な時期。日常生活、成長、運動のためにたくさんのエネルギーが必要になることを理解し、しっかりと食事を摂ることを意識しましょう。



参考

●厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586556.pdf
(2024年5月20日利用)

●鈴木志保子,「理論と実践 スポーツ栄養学」,日本文芸社,2018