2026.10.30

食事を終えたあと、舌で口の中を触ってみると、食べ物が少し残っていた――。
そんな経験はありませんか?
食べ物を飲み込んだあと、口の中に食べ物の一部が残ることを「口腔内残渣(こうくうないざんさ)」といいます。
食べ物の性質や歯並び、義歯の状態などによって、健康な方でも食べ物がお口の中に残ることがあります。そのため、「食べ物が残っている=お口の機能が低下している」というわけではありません。
しかし、「以前より残るようになった」「いつも同じ場所にたくさん残る」「何度飲み込んでも口の中に残っている」といった変化は、自分の「食べる力」を振り返るきっかけになります。
◆ 食べることは、お口全体のチームプレー
私たちは食べ物を口に入れると、歯で噛むだけではなく、舌や頬、唇を複雑に動かしています。
食べ物を唇で取り込み、舌や頬を使って奥歯へ運び、歯とあごで噛み砕きます。そして、唾液と混ぜながら飲み込みやすいまとまり(食塊)をつくり、舌を使い喉へ送り込んで飲み込みます。
つまり、「食べる」という動作は、歯・あご・舌・唇・頬・唾液、そして喉などが協調して行うチームプレーなのです。
◆ 食べ物が残りやすいとき、どんな機能が関係している?
口腔内残渣には、さまざまな要因が関係します。
① 舌の動き
舌には、食べ物を奥歯へ運び、噛んだ食べ物を集め、唾液と混ぜてひとまとめにし、喉へ送り込む役割があります。
舌の動きや力が十分でない場合、食べ物が口の中に散らばったり、飲み込んだあとに残りやすくなったりすることがあります。
② 頬や唇の動き
頬には、噛んでいる食べ物が歯の外側へ逃げすぎないようにし、奥歯の上へ戻す働きがあります。
頬や舌の動きがうまく協調しないと、歯と頬の間に食べ物が残りやすくなることがあります。また、唇の働きが低下すると、食べこぼしや水分の漏れにつながる場合があります。
③ 噛む力・あごの動き
食べ物を飲み込みやすい状態にするには、適切に噛み砕くことが必要です。
しかし、大切なのは噛む回数だけではありません。左右の奥歯を使い、舌や頬と協調しながら食べ物を動かし、まとめることも重要です。
④ 唾液の働き
唾液は食べ物を湿らせ、まとまりやすくすることで、飲み込みを助けています。
加齢、脱水、薬の影響などさまざまな理由で口が乾燥すると、食べ物が口の中に付着しやすくなり、飲み込みにくさにつながることがあります。
⑤ 歯・歯ぐき・義歯の状態
歯の欠損や歯並び、噛み合わせ、義歯の状態などによっても、食べ物が口の中に残りやすくなることがあります。
特に、いつも同じ歯の間に食べ物が挟まる場合は、歯科医院で確認してもらうことも大切です。
◆ 「口に残る」と「喉に残る」は違います
もう一つ知っておきたいのが、「口腔内残渣」と「咽頭残留(いんとうざんりゅう)」の違いです。
口腔内残渣は、飲み込んだあとに舌の上や歯ぐき、頬と歯の間など、口の中に食べ物が残っている状態です。
一方、咽頭残留は、喉(咽頭)に食べ物が残っている状態を指します。
口の中を見ただけでは、喉に食べ物が残っているかどうかは判断できません。
ただし、食事中や食後によくむせる、何度も飲み込まないとすっきりしない、食後に声がゴロゴロする、食事に時間がかかるといった変化が続く場合は、摂食嚥下(せっしょくえんげ)機能について専門家に相談することをお勧めします。
◆ 「咀嚼チェックせんべい」で、自分の食べ方を確認してみましょう
酒田米菓の「咀嚼チェックせんべい」を食べる際にも、「何回噛んだか」だけではなく、食べている様子や飲み込んだあとのお口にも注目してみましょう。
例えば、
・左右どちらの奥歯で噛むことが多かった?
・舌や頬を使って食べ物を動かせていた?
・飲み込んだあと、頬と歯の間などに残っていない?
・むせたり、何度も飲み込んだりしなかった?
といったポイントです。
ただし、食べ物の硬さや付着しやすさによっても残り方は変わります。また、こうした観察だけで、お口の機能低下や病気の有無を判断することはできません。
「噛めた・噛めなかった」だけを見るのではなく、食べ物を取り込み、噛み、まとめ、送り、飲み込むまでの一連の動きを見ることで、自分のお口の使い方に気づくきっかけになります。

◆ 食べ終わったあとにも、「食べる力」を知るヒントが!
私たちは「食べる」というと、「しっかり噛めるかどうか」に注目しがちです。
しかし、食べることは、取り込む・噛む・まとめる・送り込む・飲み込むという一連の動きによって成り立っています。
だからこそ、食べ終わったあとのお口にも、自分の食べ方を振り返るヒントがあります。食後に多少の食べ物が残ること自体は、必ずしも異常ではありません。
大切なのは
「どこに残っているかな?」
「以前と比べて変わっていないかな?」
「むせたり、食べにくくなったりしていないかな?」
という視点。
いつまでも安全に、おいしく、楽しく食べるために。
毎日の食事から、自分の「食べる力」を知る習慣を始めてみませんか。
●咀嚼チェックせんべい

≪参考≫
1.厚生労働省 e-ヘルスネット(2026年更新)
「口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-01-006
2.日本歯科医学会(2026年改訂)
「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」
https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r08/document-260511.pdf
(全て2026年10月20日利用)