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スポーツと食事・栄養

アスリートと代謝に関わるビタミンB群

2025.9.30

 アスリートは、競技・トレーニングによってエネルギー消費が高まります。それに伴って、ビタミンやミネラルといった“微量栄養素”の必要量も増加する傾向があります。このコラムでは、特にエネルギー代謝に関わるビタミンB群についてご紹介します。


ビタミンB群

 
 ビタミンB群は、代謝やエネルギー産生に必要不可欠な栄養素であり、運動しない方はもちろん、アスリートにとって非常に重要な栄養素です。糖質や脂質の代謝が上がるアスリートでは必要量が増えます。水溶性なので体内で使われなかった栄養素は尿などから排出され、体内の消費が早いため、毎日摂りたい栄養素です。



ビタミンB


 糖質や分岐鎖アミノ酸(BCAA)の代謝に関与する栄養素。摂取エネルギーが不足すると糖質からエネルギーが効率よく作られなくなるため、疲れやすくなったり、集中力が落ちたりすることがあります。また欠乏症になると、脚気になることがあります。必要量を満たすと尿から排出されるため、日常の食事では過剰症は起こりにくいと言われていますが、サプリメントで摂る場合は必要以上の摂取は控えましょう。

※「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より
※参考:成人男性は1.1~1.2mg/日、女性は0.8~0.9㎎/日
※摂取エネルギーが多くなるアスリートでは、一般の人より十分な摂取が必要になる



ビタミンB

 
 糖質、脂質、たんぱく質などのエネルギー産生や、成長ホルモンの合成に関与する栄養素。脂質代謝に関与しているため、長時間の運動をするアスリートではより積極的に摂りたい栄養素です。不足すると口内炎が出やすくなったり、肌荒れ、目の疲れなどに繋がります。また成長期のお子さまでは成長障害になると言われています。ビタミンB2も日常の食事では過剰症は起こりにくいと言われていますが、サプリメントで摂る場合は必要以上の摂取は控えましょう。

※「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より
※参考:成人男性は1.6~1.7mg/日、女性は1.2㎎/日
※摂取エネルギーが多くなるアスリートでは、一般の人より十分な摂取が必要になる



ナイアシン

 
 ニコチン酸とニコチンアミドの総称。糖質、脂質、たんぱく質の代謝や、DNAの修復・合成、アルコールの代謝など様々な機能に関与する栄養素。アミノ酸のトリプトファン60mgから、ニコチンアミド1㎎が合成されます。通常の食生活で不足するすることはないですが、アルコールを慢性的に多く摂取している人は、皮膚炎・下痢・精神神経障害を引き起こすペラグラの症状が起こる可能性があります。一方で大量に長期間摂取した場合は、消化管、肝障害の恐れがあるので注意が必要です。

※「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より
※ナイアシン当量(㎎NE)=ナイアシン(㎎)+1/60 トリプトファン(㎎)
※参考:成人男性は15~16mgNE/日、女性は11~12NE㎎/日
※摂取エネルギーが多くなるアスリートでは、一般の人より十分な摂取が必要になる




ビタミンB

 
 アミノ酸代謝や神経伝達物質の生成などに関与し、筋量の増加や維持を目標とするアスリートにとっては重要な栄養素。また、赤血球のヘモグロビン合成や、免疫機能の正常な働きにも必要です。アスリートは競技やトレーニング強度によって必要なたんぱく質量が増加するため、それに伴ってビタミンB6の必要量も多くなります。腸内細菌によって合成されるため、通常は不足することはないと言われていますが、必要量が多くなるアスリートは意識的に摂りましょう。不足すると口角炎や皮膚炎などが起こる可能性があります。サプリメントなどで大量に長期摂取した場合は、感覚神経障害などを起こす恐れがあります。


※「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より
※参考:成人男性は1.5mg/日、女性は1.2㎎/日
※たんぱく質摂取量がが多くなるアスリートでは、一般成人より十分な摂取が必要になる




ビタミンB群を多く含む食品

 
 各栄養素を多く含む食品を下図にまとめました。スーパーで手に入りやすく、調理しやすい食品も多いので、ぜひ日常の食事で取り入れてみてください!


 

 アスリートにとって代謝の関わるビタミンは、コンディション維持やパフォーマンスアップのために重要な栄養素です。様々な食材から摂取できるので、神経質になりすぎず、おいしく、楽しく食事に取り入れてみてください!



参考


●厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)各論 ビタミン(水溶性ビタミン)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316467.pdf
(2025年9月30日利用)
●高田和子・海老久美子・木村典代.「エッセンシャル スポーツ栄養学」,(有)市村出版,2020
●鈴木志保子,「理論と実践 スポーツ栄養学」,日本文芸社,2018