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噛む健康・カラダづくり

元気に歳を重ねるためにできる食事の工夫

2025.6.30

人は年齢を重ねるにつれて、身体の機能が自然と衰えていきます。
この「衰え」を完全に止めることはできませんが、工夫や努力によってそのスピードを抑えることも期待できます。

そのためには、日々の生活の中で「身体をしっかり使うこと」が大切です。

 

1.加齢と機能の衰え

 

加齢に伴い、心身ともにさまざまな機能が低下していきます。

特に「使わない機能」は衰えるスピードが速くなります。
たとえば、風邪などで1週間以上寝込むと、筋力が落ちて足腰が不安定になることがあります。また、普段運動している方でも、しばらく休んだ後に再開すると違和感を覚えることがあるのではないでしょうか。

筋肉と同じように、体のあらゆる機能も「使わなければ衰える=老化が進む」ということです。

加齢に伴い衰えていくのは、運動機能や認知機能だけではありません。
食欲や、噛む・飲み込む・唾液の分泌といった「食べる機能」、胃腸の働きも低下していきます。中でも「食べる機能」は非常に重要です。口から食べられなくなると、生きる力そのものが弱まってしまうからです。

 

 

2.高齢期の「食べないこと」がもたらすリスク

  

● 食べないことで起こるリスク

 口から食べることには、単に栄養を摂る以上の意味があります。食べることで脳が刺激され、胃腸の働きにもスイッチが入ります。極端な例ですが、長期間にわたる絶食により、小腸の絨毛(じゅうもう)が萎縮し、栄養吸収の能力が低下すると言われています。

つまり「食べないこと」は、体の機能を低下させる大きなリスクなのです。

また、食べない・柔らかいものばかり食べることで口唇・頬・舌などの筋肉が衰え、噛む力や飲み込む力が弱くなります。それにより、誤嚥性肺炎のリスクが高まったり、全身の筋肉が減少して栄養不足に陥ったりする可能性もあります。

 

● 高齢者における低栄養の危険性

高齢になってからの「低栄養」は、非常に危険です。
極端な粗食や、食事量の制限を続けると、以下のようなリスクが高まります。

・体重減少
・筋力の低下
・免疫機能の低下
・骨折のリスク増加
・認知機能の低下
・活動量の低下
・要介護状態への移行

いわゆる「オーラルフレイル」「フレイル」「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」といった状態を招くことにもつながります。

 

 
 オーラルフレイル:加齢に伴い、歯や口の機能が衰えた状態
 フレイル:加齢に伴い心身の活力(筋力や認知機能など)が低下した状態
 ロコモシンドローム:骨、関節、筋肉、神経などの運動器の障害により、立つ、歩くといった移動機能が低下した状態
 

 

 

3.高齢者の食事で気をつけたいポイント

 

中年期と高齢期では、食事で意識すべきことが異なります。

中年期は、生活習慣病の予防を意識し「カロリーや脂質を控える」ことが大切ですが、高齢期ではむしろ「しっかり栄養を摂る」ことが重要になります。炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素を中心に、カルシウムやビタミン・ミネラルなど、摂るように心がけましょう。日々の食事では、「ご飯とみそ汁とおかず」の定食スタイルを取り入れると色々な栄養素を摂取できます。

 

食事作りが面倒な時は、白米に雑穀を混ぜて炊くとたんぱく質や食物繊維などがプラスに。また、お味噌汁に野菜や魚、肉、揚げなどもいれて具沢山味噌汁にすると、たくさんの栄養素が摂れるようになります。

必要なカロリー・栄養素をしっかり摂ることが、健康維持には欠かせません。

 

「年だから食べる量を減らす」ことは、機能低下を自ら招く行動です。
食べられるうちは、無理に量を減らさず、できるだけ「しっかり食べる」ことを意識しましょう。また、カロリーを減らした状態で運動をすると、身体は筋肉を分解してエネルギーにしようとします。結果として「運動すればするほど筋肉が減る」という悪循環に陥ることもあります。

 

  

●食事は「栄養摂取」と「運動(トレーニング)」

食事は単なる栄養補給ではありません。
噛む・飲み込む・消化するという一連の動作は、まさに「運動(トレーニング)」そのものです。

胃腸も筋肉でできているため、しっかり食べることで胃腸の筋肉を刺激し、働きを維持することができます。

特に、噛む力はとても大切です。液体ややわらかいものばかりに頼らず、自分の噛む力に合わせて「ある程度噛みごたえのある食材」を取り入れると良い刺激になります。唾液の分泌も促進され、お口の機能維持や誤嚥予防にもつながります。

食事は「栄養摂取」と「運動機能の維持」になるため、健康づくりに欠かせないものということです。

 

おわりに

 

「衰え=機能低下」を完全に防ぐことはできませんが、日常の中で機能をしっかり使うことで、そのスピードを遅らせることはできます。今ある機能を活かし、自分の意志で生活できる時間(=健康寿命)を少しでも延ばすことを目指して、毎日の食事を大切にしていきましょう。

  

 

 

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【参考】

●加齢に伴う摂食低下のメカニズム 老年内科第4巻第3号:261-266,2021
https://www.ryudai2nai.com/dai2/wp-content/uploads/2021/10/614ff60f1d7e985d82b769baf9f0ba9d.pdf

(2025年6月30日利用)

●厚生労働省
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf

(2025年6月30日利用)

●厚生労働省
介護予防マニュアル(改訂版:平成24年3月)
第4章 栄養改善マニュアル
資料4-1 高齢者にとっての「食べること」の意義
https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-siryou4-1.pdf

(2025年6月30日利用)

●厚生労働省
介護予防マニュアル 第4版
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001238550.pdf

(2025年6月30日利用)