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Column
噛む健康・カラダづくり

暑い夏を元気に過ごそう!~「夏バテ」対策~

2023.8.17

1.「夏バテ」とは

 

ここ最近、日本の夏は猛暑になることが多く、熱中症警戒アラートなど様々な対応がされるようになっています。気象庁によると、日本の年平均気温は様々な変動を繰り返しながら上昇していて、長期的には100年あたり1.30℃の割合で上昇しているとのことです。

日本の夏は気温の高さに加えて、ジメッとしているため体調を崩しがちです。

・食欲がない
・だるい
・疲れやすい
・夜眠れない

などといった症状はありませんか?


夏に起こる上記のような症状の総称を「夏バテ」といい、様々な原因が日々積み重なって起こるものです。

 

 

2.夏バテの原因

 

1)自律神経の乱れ
 自律神経とは、意志とは無関係に内臓の働きや代謝、体温などの機能を調節するため常に働いている神経系です。自律神経には活動しているときに働く「交感神経」と、休息やリラックスしているときに働く「副交感神経」の2種類があり、バランスをとりながら身体の調子を整えてくれています。しかし、真夏の室内外の大きな気温差を繰り返し感じることで、自律神経のバランスが乱れてしまうことがあります。自律神経は身体中様々な機能に関わっているため、この神経のバランスの乱れは体内の多くの機能に影響を及ぼし、胃腸の疲れ、倦怠感、食欲不振、不眠といった夏バテの症状が現れます。

 

 
2)水分不足
 夏は、昼夜、屋外屋内に限らずいつの間にか体内からたくさんの水分が失われ、気づかないうちに脱水状態になってしまうことがあります。脱水により体内の水分が少なくなると、血液量が低下し心臓などに負担がかかり、身体の動きを鈍くさせます。また、汗をかくことで、ナトリウム、カルシウム、カリウムなどの体のミネラルが排出され、だるさや疲労を感じるようになります。

 

3)栄養不足
 夏に栄養不足となる要因として、1)で説明した自律神経の乱れによる食欲不振や、冷たいものの摂りすぎによる胃腸の疲労からくる食欲不振などがあります。暑くなると冷えたものが美味しく感じられ、つい欲しくなります。しかし、冷たいものの摂りすぎは、消化酵素の働きが低下し胃腸の機能が落ちてしまいます。それが、胃もたれや下痢を引き起こし、食欲不振へと繋がります。必要なものが食べられず、さらに胃腸機能が低下していると消化吸収が不十分となり、栄養不足に陥ってしまいます。栄養不足は気力の低下、疲労回復の遅れ、だるさなど夏バテに繋がります。

日常生活を送ったり、スポーツなどをすると、エネルギーの消耗、筋肉の損傷、疲労の蓄積といったことが起こります。回復するためには、食事から摂る栄養素もとても大切です。

元気がでない、食欲が無い、眠れない、暑くて疲れているからと食事をきちんと摂らずに冷たいものや水分ばかりで過ごしていると、気力も体力も低下してしまいます。集中力が続かず、仕事やスポーツの練習をしていても身が入らない、さらにやる気も食欲もわかないという負のスパイラルに陥ってしまうかもしれません。

また、夏バテによる体力低下や体調不良は、熱中症や感染症にかかるリスクを高めるため、予防や早めの対応をしましょう。

  

   

3.夏バテの予防、対応方法

  

●生活リズムを整える
自律神経の働きを保つため、規則正しい生活を送ることも夏バテ予防につながります。特に朝日を浴びたり、朝食を摂ることで体内時計が整い、自律神経のバランスを保つことに役立ちます。また、疲れた身体を回復させるには質のよい睡眠も重要です。毎日同じような時間に就寝する、夜はスマホなどの使用を控える、暑くて寝苦しい場合は冷却シートや冷感シーツ、冷房や扇風機を上手に使いながら気温や湿度を下げるといった工夫をしましょう。

   

●適度に汗をかく習慣をつける
私たちの身体は、皮膚の表面から空気中に熱を逃がしたり、汗をかくことなどで体温調節をしています。適度な運動で汗をかくことは、暑さへの耐性がつき、汗をかける体質をつくることにつながります。汗がかきやすくなると体内の熱を逃しやすくなり、体温の上昇を防ぐことができ、夏バテ予防になるということです。ただし、熱中症の危険がある日中は避けましょう。

    

●入浴
入浴は、自律神経を整えたり、睡眠の質を高める効果があります。さらに、体内の細胞を修復する効果もあります。シャワーで済ませがちな夏もできるだけお湯にゆっくり浸かり、身体を温めるとよいでしょう。

    

●必要な栄養補給で体力をつける
夏バテの大きな要因は、食欲が落ちること。食欲がないからといって、ゼリーや液体のものばかりでは十分な栄養を補給できず体力が落ちてしまいます。冷たいものは、胃腸の機能を低下させます。暑い夏、特に運動をした後などには冷えたものが欲しくなりますが、身体のことを考えると水分補給は5℃~15℃が良いでしょう。他にも、温かい食事をとったり、常温や温かい飲み物も飲むようにして疲れがちな胃腸を守りましょう。

  

    

  

4.「噛んで食べること」も夏バテ予防のひとつ

   

 夏バテ予防のために、胃腸の機能を維持する「胃腸のトレーニング」もオススメです!胃腸は筋肉でできています。筋肉は使って鍛えます!「使うこと」とはつまり「食べること」です!しっかり食べて胃腸のトレーニングをしましょう。

  

オススメなのがご飯とみそ汁のある「定食スタイル」の食事です。ご飯は粒なので噛むことができます。また、ご飯には水分が含まれ、お茶碗1杯分のご飯を1日3回食べればおよそ270mlの水分補給ができます。さらに、野菜などの具が入った味噌汁はミネラルや塩分、水分も補給できます。朝からしっかり食べると、体内時計も整い、一日の活動前の水分補給と熱中症対策ができます。

   

食べ物を噛んで食べることは、胃腸を動かし、消化吸収の働きを促進させる効果があります。
食欲が落ちつつあるときに、水分や液体状のものだけで済ますのではなく、噛んで食べられるものを積極的に摂りましょう!

   

高温多湿の日本の夏を避けて通ることはできません。自分にあった夏バテ解消法を取り入れて、夏を楽しみましょう!

   

   

   

参考

1)気象庁
日本の年平均気温偏差の経年変化(1898~2022年)
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html(2023年8月9日利用)

2)環境省
COOL CHOICE COOL BIZ「適正な室温とは」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/coolbiz/article/2020_action_detail_004.html(2023年8月9日利用)

3)農林水産省「夏バテに気をつけましょう」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syoku_anzen/manabu/r0307/natubate.html
(2023年8月9日利用)