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Column
噛む健康・カラダづくり

オーラルフレイルの早期発見で最期まで元気に!

2023.7.30

  

最近、お口の中や飲み込みの状態はいかがですか?

  

・ぐらつく歯はありませんか?
・歯磨きの時に血が出たりしていませんか?
・口の中がねばねばしたり、舌の表面が乾いていませんか?
・硬いものが食べにくくなっていませんか?
・汁物など水分でむせることが増えていませんか?

 

 歳を重ねると身体の筋力や機能が衰えたりするのと同様、お口周辺の筋力や働きが衰えやすくなります。近年、このお口周辺の衰えは「オーラルフレイル」として注目されるようになってきました。

なぜ、注目されるようになってきたのでしょうか??

  

  

オーラルフレイルに気が付けば健康を取り戻せる?!

  

 オーラルフレイルは、「Oral(口)」と「Frailty(虚弱)」を合わせた造語です。


オーラルフレイルとは、お口周辺の働きの低下(食べこぼしが多くなる、硬いものが食べにくくなる、言葉が不明瞭になるなど)、食べ物の偏りや食べる機能の障がい、気持ちの落ち込みなどを引き起こす状況を含み、心身の機能低下までつながる負の連鎖が生じてしまうことに対して警鐘を鳴らした日本発の概念です。

  

オーラルフレイルは身体の虚弱「フレイル」に先立って始まると言われています。

ほんのささいな症状から始まるため見逃しやすく、気が付きにくいのが特徴です。しかし、このささいな口腔機能の低下から食べる機能の低下、さらには、心身の機能低下、寝たきりへと繋がることがあるということです。

また、オーラルフレイルは、「健康な状態」と「機能障害」との中間にあり、一旦症状が進行しても元に戻すことができるということが大きな特徴でもあります。

つまり、早めに気づき適切な対応をとれれば健康な状態へと再び近づけることができるのです。

 

  

人生100年時代。

一人一人が自分自身の健康状態を意識し、機能低下予防や早期発見ができれば、健康寿命を延ばし最期まで活き活きと生活を送る可能性が高まります。これが結果的に介護予防等に繋がることから、近年注目が集まっています。

  

  

見逃さないで!!小さなオーラルフレイルのサイン

  

 私たちの「食べる力」は様々な要素で成り立っています。


 「食べる力」には、残存歯数や咀嚼力、嚥下(飲み込み)機能、歯やかみ合わせを支える顎なども含めた歯科口腔機能、服薬の状況、口腔を含む全身のサルコペニア(筋肉量や筋力が低下している状態)の問題、さらには栄養(栄養摂取バランスの偏り等の食事摂取状態だけではなく、食に対する誤った認識等)、誰とどんなところで食事ができるのかなどの社会性、精神心理面、経済的な問題等、多くの要素が関わってるため、「食べる力」の低下の原因も様々です。

 例えば、会社を退職するなど何かのきっかけで活動範囲が狭まったり、少し心の状態が不安定になったりしたのを契機に、お口の状態や自分自身の健康状態など自分への関心が薄れてしまうことがあります。そこから、歯周病や残存歯数低下などのリスクが高まり、口腔機能の低下が始まります。そして、そのささいな口腔機能の低下が滑舌の低下、食べこぼしやわずかのむせなどの状態となって現れます。食べにくさから「年のせいで硬いものが食べにくくなった。消化にも良いかもしれないから柔らかいものにしよう。」といって食事が偏り、それがいつしか習慣化し、自覚がないままにお口の機能低下へと繋がる可能性もあります。

 

さらに、お口の機能を低下したままにしておくと状態は悪化します。栄養状態の悪化、全身の筋力や筋肉量が減り動きにくくなり、更なる口腔機能低下、ついには食べる機能の障がいを患い、口から食べることができなくなり誤嚥性肺炎を引き起こしたり、介護が必要な状態になってしまうことも。

口から食べることは人にとって最期まで残る楽しみと言えます。


食べる機能の障がいの重症化は、生命維持に関わるだけでなく、その楽しみも奪います。これは、「QOL=生活の質」の低下にも繫がります。口腔の機能低下が進行し食べる機能が障がいされると、栄養や運動機能、社会との関わりや心理的な部分にまで影響し、人生をも変えてしまう可能性があるということです。

  

  

  

オーラルフレイルを予防しよう!

  

  

オーラルフレイルの予防には、口腔機能の状態を維持・改善するのはもちろん、十分な栄養摂取も含め、食べる楽しみやQOLなど、「心」と「身体」の健康に意識を向けることが大切です。

キーワードは「よく食べる!よく動く!よく笑う!!」です。

  

1.お口のケア
 まずは使える(噛める)歯をできる限り維持すること。日々のセルフケアと歯科医院への定期的な受診で健康なお口を保ちましょう。

 

2.お口周辺のトレーニング
食べるときに使う機能には多くの筋肉が関わっています。トレーニングをして筋肉を鍛え、元気なお口を保ちましょう。例えば、思いっきり笑顔をつくり頬や口角をあげたり、五十音表を大きく明瞭に発音する、頬を膨らませる、唇を突き出す、首のストレッチなど、気が付いた時に実践してみましょう。

 

3.使ってトレーニング
 積極的に人と話をする、食べるときに噛み応えのあるものを噛んで食べるなど、しっかりと使うこともお口の機能維持に役立ちます。

 

4.食べて元気に!
 心も身体も食べたものでできています。まずは必要な栄養素を摂り入れること。バランスのとれた食事を3食、よく噛んで食べましょう。

 

5.身体にも心にも刺激を!
 オーラルフレイルは、全身の虚弱「フレイル」に先立って始まります。お口だけではなく、心身も楽しみながら刺激をしましょう!ウォーキングやストレッチ、趣味を広げる、ボランティアなど人と関わる機会を設けるなどできることから始めてみましょう。いつもはエレベーターやエスカレーターを使うところ1フロア分だけは階段にする、いつもより少し遠回りして歩く、家族や知人との食事や集まりに参加するといった、ちょっとしたことの積み重ねも良いですね。

 

 

食べて、動いて、笑って、お口・心身の健康を維持しながら、オーラルフレイルを予防していきましょう!!

そして、「人生最期まで元気!」を目指しましょう!!

  

  

参考

1)令和元年度食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防事業
(厚生労働省健康局健康課)パンフレット
2)厚生労働省
通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル〈2020年版〉
~高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けて~
3)公益社団法人 日本歯科医師会
歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル 2019 年版

   

  

オーラルフレイルの早期発見に!
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