2026.4.20

「最近、食が細くてやせてきた気がする…」
「逆に、食べすぎていないか心配で…」
小学生の体重に関する悩みは、「太りすぎ」だけではありません。
むしろ近年は、「やせ」と「太りすぎ」の両方が増える“二極化”が課題となっています。
文部科学省の学校保健統計調査(令和7年度)では、
小学生の約1割が肥満傾向にある一方で、数%はやせ傾向にあると報告されています。
同じ年代の子どもたちの中で、「やせ」と「太りすぎ」が同時に存在する、いわゆる“二極化”が進んでいます。
1.「食べていない」だけではない“やせ”の背景
やせている子どもを見ると、
「食べる量が少ないから」と考えがちです。
しかし実際には、それだけではありません。
・食事に集中できない
・途中で席を離れてしまう
・少量で満足してしまう
・好き嫌いが強い
といった、“食べ方”や“食事環境”も影響しています。
さらに、
・朝食を食べない
・生活リズムが不規則
といった習慣も、食欲低下につながります。
【やせがもたらすリスク】
「やせている=健康」と思われがちですが、
成長期のやせは注意が必要です。
主な影響として、
●成長への影響
・身長の伸びが緩やかになる(成長の機会を逃す)
・筋肉量が増えず、運動能力が伸びにくい
・骨の形成が不十分になり、将来の骨量低下につながる
●集中力・学習への影響
・エネルギー不足による集中力低下
・疲れやすさ
●免疫機能の低下
・風邪をひきやすい
・回復が遅い
などがあります。
授業中にぼーっとしてしまう、すぐに疲れる、運動を嫌がるといったサインの背景に、栄養不足が隠れていることも少なくありません。やせは「見た目」ではなく、体の土台そのものに関わる問題です。
2.増えている「太りすぎ」
太りすぎの背景には、
・運動不足(外遊びの減少)
・スマホやゲーム時間の増加
・脂質・糖質の多い食事
・間食やジュースの習慣
などが挙げられます。
また、コロナ禍以降、外出機会の減少による体重増加も指摘されています。
【太りすぎがもたらすリスク】
●身体面
・持久力の低下(すぐに息が上がる)
・動きづらさによる運動量の低下
・膝や足への負担増加
といった「動く力」の低下が見られます。
さらに
・血圧の上昇
・中性脂肪やコレステロールの増加
・血糖値の異常
など、本来は大人に多いとされてきた変化が、子どもの段階から現れることがあります。
●心への影響
・運動が苦手になることで自信を失う
・見た目を気にして消極的になる
・人との関わりを避けるようになる
こうした変化は、生活習慣だけでなく、その後の性格や行動にも影響を与えることがあります。
3.共通する原因は「食べ方」と「リズム」
やせと太りすぎ、一見正反対のようですが実は共通するポイントがあります。
それが、“食べ方”と“生活リズム”です。
●食べ方の影響
・早食い → 食べすぎ(肥満)
・噛まない → 血糖値の乱れ
・ながら食べ → 食事量が不安定
・食事に集中できない → 摂取不足(やせ)
例えば、テレビを見ながらの食事。会話も少なく、なんとなく口に運ぶ時間。急いでかき込むように食べ、ほとんど噛まずに飲み込んでしまうこともあります。
実は、この「食べ方」が、やせにも、太りすぎにもつながっていることがあります。
よく噛まずに食べると、満腹感を感じる前に食べ終わってしまい、食べすぎにつながります。逆に、食事に集中できないと、途中で食欲が途切れ、必要な量を摂れなくなります。
同じ食事でも、結果が違ってきます。
●血糖値の視点
少し専門的な話になりますが、体重のコントロールには「血糖値の動き」が深く関わっています。
甘い飲み物やお菓子を頻繁に摂ると、血糖値は急激に上がります。そしてその後、急激に下がることで、「また何か食べたい」という状態が生まれます。
これが繰り返されると、
・また食べたくなる(過食)
・逆に食欲が不安定になる
といった状態を生み、間食が増え食事のリズムが崩れていきます。この状態は、肥満だけでなく、やせにつながることもあります。
●生活リズム
・朝食欠食
・夜更かし
・不規則な食事時間
これらはすべて、食欲や代謝に影響します。
特に朝食は、体と脳を目覚めさせる“スイッチ”のような役割を持っています。このスイッチが入らないまま1日が始まると、食事のリズムもエネルギーの使い方も、うまく回らなくなってしまうのです。朝食を食べない日が続くと、体は「エネルギーがいつ入ってくるかわからない状態」になり、うまく働かなくなります。その結果、ある子は食べすぎ、ある子は食べられなくなる・・・
同じ生活の中で、異なる形として現れるのです。
◆中学生で差が広がる理由
大切なのは、「やせ」も「太りすぎ」も、どちらも将来につながる問題だということです。
やせている場合、エネルギー不足によって集中力が続かなかったり、体力が低下したりします。さらに、成長期に必要な栄養が不足することで、身長の伸びや筋肉の発達に影響が出ることもあります。
一方、太りすぎの場合は、すでに子どもの段階から、高血圧や脂質異常、糖代謝の異常といった生活習慣病の兆候が見られることがあります。そしてどちらも共通しているのが、「小学生のうちの習慣が、そのまま将来に引き継がれやすい」という点です。
4.今日からできる3つのポイント
体重を整えるためにできることは、特別な食事法や制限ではありません。生活の中の小さな“習慣を整える”ことです。
例えば、
・できるだけ一緒に食卓につく時間をつくること。
・ゆっくり噛んで食べる声かけをすること。
・朝、同じ時間に「いただきます」をすること。
ほんの少しの工夫で、食事の時間は変わります。一度にすべてのことを整えるのではなく、できることからはじめてみましょう!

小学生の「やせ・太りすぎ」は、決して特別な問題ではありません。日々の生活の中で、少しずつ積み重なった習慣の結果です。
体重の問題は、“食べる量”だけではなく、“どう食べるか”“どんなリズムで過ごすか”によってつくられるともいえます。
やせも太りすぎも、どちらも放っておいてよいものではありません。日々の食事を少し見直すことが、子どもの未来の健康につながります。
食事は、体をつくるだけでなく、未来をつくるもの。
その一歩は、今日の食卓から始まっています。

≪関連コラム≫
おやつはお菓子を楽しむだけじゃない‼
~おやつの役割とあげ方のポイント~
【参考】
・文部科学省
学校保健統計調査-結果の概要
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/kekka/1268813.htm
子どもの生活の現状
https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/08060902/002.pdf
・厚生労働省
令和6年国民健康・栄養調査報告
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r5-houkoku_00002.html
・農林水産省
令和6年度 食育白書
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/attach/pdf/r6_wpaper-33.pdf
・公益社団法人 日本小児科学会
幼児肥満ガイド
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/2019youji_himan_G_ALL.pdf
・国立保健医療科学院
幼児期の健やかな発育のための栄養・食生活支援ガイド【確定版】
https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/youjishokuguide/YoujiShokuGuideKakutei.pdf?utm_source=chatgpt.com
※すべて2026年4月10日利用