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スポーツと食事・栄養

アスリートにおけるサプリメント活用のポイントと注意点

2026.2.28

 競技力向上やコンディション維持のために、サプリメントを取り入れるアスリートは少なくありません。しかし、正しく理解し活用しなければ、期待した効果が得られないばかりか、健康や競技生活に悪影響を及ぼす可能性もあります。本コラムでは、サプリメントの基本と注意点についてご紹介します。



サプリメントとは何か


 日本には法令上の明確な定義はありませんが、「ビタミンやミネラルなどの健康の維持増進に役立つ特定の成分を濃縮し、錠剤やカプセル状にしたもの」と考えられています。サプリメントと似たもので「健康食品」がありますが、最近では、菓子類、飲料などもサプリメントとして販売されているものがあり、区別はややあいまいになってきています。あくまで「食品」であるため、病気の治療や予防を目的とするものではないことを理解しておきましょう。スポーツサプリメントとして活用される場合、用途によって以下のように分類されています。



ダイエタリーサプリメント


 食事からでは補いきれない栄養素がある場合に活用するもの。ビタミンやミネラル、プロテインなどがこれにあたります。運動後すぐに食事がとれない時、アレルギーで食べられない食品がある時、衛生環境が良くない地域に行く時、体調不良で食事が食べられない時、減量のため食事制限をしている時などに活用を検討します。

※英語の「diet」の基本的な意味は「食生活・食習慣」。「ダイエタリーサプリメント」とはダイエット(減量)のためのサプリメントという意味ではありません。


パフォーマンスサプリメント

 
 運動パフォーマンスに影響する可能性のある成分を含むサプリメント。カフェイン、クレアチン、硝酸塩、β-アラニン、重炭酸ナトリウムなどがこれにあたります。どのような効果が見込まれるがをよく確かめ、安全性が確認できるものを選択しましょう。また科学的根拠が立証されているか、確認する必要があります。
パフォーマンスサプリメントを使用する場合は、試合で初めて使用するのではなく、練習試合など、試合に近い状況で試してからの活用しましょう。



基本は「食事」であることを忘れない

 
 サプリメントはあくまで補助的な役割です。エネルギーや主要な栄養素は、日々の食事から摂取することが基本となります。 例えば、炭水化物によるエネルギー補給や、たんぱく質・脂質のバランス、ビタミン・ミネラルの摂取は、まず食事で整えるべきです。特にジュニア期は食事の土台、食べる力をつける大事な時期。まずは食事を整えることを優先に。食事が不十分な状態でサプリメントだけに頼っても、期待する効果が得られない可能性があることを理解しておきましょう。



専門家と連携して活用する

 
 サプリメントの活用は、自己判断だけではなく、医師による診断や、管理栄養士やスポーツ栄養士からの栄養評価などをもとに検討するなど、専門家と相談しながら進めることが望ましいです。まずは食事で解決できないか検討し、難しい場合に摂取を検討します。また、個々の身体状況、トレーニング量、競技特性によって必要な栄養戦略は異なります。「なんとなくよさそうだから摂る」ではなく、適切なアドバイスを受けることが推奨されます。  



過剰摂取のリスクに注意


  「体に良いものだから多く摂っても問題ない」という考えは危険です。特に脂溶性ビタミン(A・D・E・K)やミネラルは、過剰摂取により健康被害を引き起こす可能性があります。 また、複数のサプリメントを併用することで、意図せず同じ成分を過剰に摂取してしまうケースもあります。摂取量や成分表示を必ず確認することが重要です。



アンチ・ドーピングの観点

 
 アスリートにとって最も重要な注意点の一つがドーピングリスクです。サプリメントの中には、意図せず禁止物質が混入している場合があります。そのため、第三者認証(インフォームドチョイス、インフォームドスポーツなど)を受けた製品を選ぶなど、リスク管理が不可欠です。



おわりに

 
 サプリメントは、便利に活用できるアイテムです。しかし、その本質はあくまで「補助」であり、土台となるのは日々の食事と生活習慣です。
目的を明確にし、安全性に配慮しながら、専門家と連携して取り入れることが重要です。正しい知識を身に着けて、安全に活用しましょう。



参考

●寺田新,「スポーツ栄養学 第2版 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる」,㈠東京大学出版会,2017