運動時に足がつる!その原因と対策とは?
2025.5.31

スポーツをしている時に、足がつった経験がある人は少なくないはず。トレーニングや試合、レース時のパフォーマンスにも影響するため、できるだけ避けたいですよね。足がつる原因と対策についてご紹介します。
原因
運動時に足がつる原因は、まだはっきりとはメカニズムが分かっていません。以下のような要因が考えられています。
筋収縮のコントロール異常
「足がつる」とは、筋肉が自分の意志とは関係なく収縮した状態。長時間の運動や、強度の高い運動によって疲労した筋肉では、筋収縮に関わる神経の興奮と抑制の刺激のバランスが崩れ、興奮性の刺激が強くなることで足がつる原因のひとつになっていると言われています。
神経伝達のバランスが崩れる原因は不明であり、十分にトレーニングを積んでいるアスリートでも発生していることから、引き続き検討が必要とされています。
脱水・電解質異常
汗をかくことにより、ナトリウムやカリウムなどの電解質のバランスが崩れ、間質液(細胞と細胞の間にある液体)の電解質濃度が高まったり、間質圧(細胞と細胞との空間の圧)が変化して、神経末端が過敏になり、筋痙攣(足がつる)が起こると考えられています。
しかし、脱水と筋痙攣の発生には個人差も大きく、近年では他の様々な要因も複雑に絡み合って発症に至ると言われています。
複合的要因
上記の通り様々な要因があると考えられ、筋肉の疲労、ナトリウムなどの電解質の異常、脱水、気温、睡眠不足などが原因として関わると言われています。
予防と対策

足がつったら?
静的ストレッチングを行うことが推奨されています。緩やかに腱を伸張させることで、筋を弛緩させる神経の信号が増えるためと考えられています。
電解質と水分補給
足がつる直接的な原因ではない可能性が高いものの、発症のしやすさや症状の程度に影響を及ぼすと考えられているため、回復と予防には重要となります。
脱水予防は熱中症対策にも必要であるため、運動中はこまめに水分補給をしましょう。公益社団法人日本スポーツ協会によると、塩分濃度が0.1~0.2%(ナトリウム換算で40~80㎎/100ml)の飲料が推奨されています。発汗量が多い時は水分の損失も多くなるので、特に梅雨~夏にかけては注意しましょう。
生活習慣と食習慣

日ごろの体調を整えるため、生活習慣と食習慣も整えていきましょう。睡眠時間は7時間以上を目安に、疲労を溜めないよう十分に確保を。バランスのよい食事をこころがけ、主なエネルギー源となる炭水化物(ごはん、麺、パンなど)を中心に、筋肉の動きに関係が深いカルシウムやマグネシウムなども積極的に摂りましょう。カルシウムは乳製品や小魚類に、マグネシウムは大豆食品(豆腐、納豆など)、海藻類などに多く含まれています。
足がつる原因は色々な要素が関係しています。予防のためにはトレーニングや運動時だけではなく、日常の食事や生活習慣も整えることが大切です。なんらかの疾患が原因の可能性もあるため、何度も同じ部位に発生したり、その他の不調もある場合は専門機関への相談をお勧めします。
参考
●寺田新,「2024年版スポーツ栄養学最新理論」,㈲市村出版,2024
●寺田新,「スポーツ栄養学 第2版 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる」,(一社)東京大学出版会,,2024
●Miller KC, McDermott BP, Yeargin SW, Fiol A, Schwellnus MP. An Evidence-Based Review of the Pathophysiology, Treatment, and Prevention of Exercise Associated Muscle Cramps. J Athl Train. Published online June 29, 2021. doi:10.4085/1062-6050-0696.20