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パフォーマンスアップのための減量とは?食事のコツ

2023.9.15

アスリートの減量とは?

 体重とは「体脂肪量」と「除脂肪量」を合計した値になります。体脂肪量が増えすぎると、動きが鈍くなったり、ケガのリスクも高まるため、減量が必要なアスリートの多くは、除脂肪体重は残して、体脂肪だけを落とします。パフォーマンスやコンディションに影響するため、計画的な減量が望まれますが、極端な食事制限や、偏った食事を続けて、逆に体調を崩したり、ケガをしたりしてしまう人も少なくありません。減量のための基本的な食事のコツを知って、自分に合った方法を身につけていきましょう。

※除脂肪体重・・・全体重のうち、体脂肪を除いた筋肉・骨・内臓・体液などの総量。成長期を過ぎると骨や内臓・体液の重さはあまり変化しないとされているため、除脂肪体重の増減は筋量の増減として 評価することもできる。

いつまでに何kg減量したいか、計画を立てよう

 除脂肪体重を維持して、体脂肪を落とすには、1週間に0.7%の減量ペースが効果的であると報告されています。1kgの体脂肪を減らすには、約7,200kcal消費する必要があるため、急激な減量は身体への負担も大きくなります。減量ペースを参考に、無理のない目標を設定しましょう。
トレーニングの増加と食事を併用して減量する場合、すでに強度の高いトレーニングをしている人は身体への負担が大きくなるため、食事のみで調整するか、オーバートレーニングにならないように注意が必要です。

(例)70㎏の人が1週間で0.7%減量する場合
1週間に減らす体重
  70kg×0.007=0.49kg 
  (1か月で1.96kgの減量)

1日に減らすエネルギー量
  0.4kg×7,200kcal/7=504kcal

食事のコツ

1日3食、ムラなく食べる

 空腹の時間が長くなり、身体を動かすエネルギーが足りなくなると、身体は筋肉を分解してエネルギーとして使うため、除脂肪体重の減少に繋がり、さらに脂肪をため込みやすい身体に変化します。特に朝は前日の夕食から時間が空いているため、身体は飢餓状態。欠食はせず、朝、昼、夕、なるべく決まった時間に食事をとり、規則的な栄養補給をしましょう。

おかずは低脂質の食材、調理法、調味料を選ぶ

 身体づくりのためのたんぱく質は、減量中でもしっかり摂る必要があるため、おかずの量は減らさなくてOK。ただし、おかずは、使用する食材、部位、調理法、調味料によって脂質の量が大きく変わるため、何を選択するかがポイントになります。脂質を摂りすぎている場合は、量や頻度を調整しましょう。 


炭水化物を抜かない

 身体を動かすエネルギー源となるため、必要以上に減らすと、バテやすくなったり、疲れやすくなったりして、パフォーマンスにも影響します。また、炭水化物がないと、脂肪をエネルギーにすることができないため、体脂肪も落ちにくくなります。


野菜、きのこ、海藻類を食べる

 野菜、きのこ、海藻類には、代謝に必要なビタミンやミネラルが豊富。これらが不足すると代謝が落ちるため、野菜は毎食、きのこや海藻類は、1日1回は食べたい食材です。汁物に入れると、簡単に手間なく調理ができるのでおすすめ。新鮮な食材がベストですが、冷凍野菜、冷凍きのこを常備しておくと、忙しい時や、疲れて調理がおっくうになる時でも便利に使えます。


嗜好品の摂りすぎに注意!

 スナック菓子やケーキなどの洋菓子、アイスクリームは脂質や砂糖が多く、摂りすぎは体脂肪が増える原因に。我慢しすぎてストレスを溜めることは減量に逆効果ですが、量や頻度を決めて、摂りすぎに注意しましょう。

毎日続けやすいメニュー

 減量のために、あれこれメニューを考えるのも大変ですよね。ベースとなるメニューは、「アスリートの基本の食事とは?」でもお伝えした、①ごはん②具沢山味噌汁③おかずの3皿。
ごはんとおかずの割合を6:4にすると、必要な炭水化物、たんぱく質はきちんと摂れて、脂肪を摂りすぎることがなくなり、バランスのよい食事になります。6:4は見た目のボリュームのイメージ。細かい数字を毎食計算するのは大変ですが、見た目で判断できると簡単ですよね。上記画像はごはん:おかずの割合が6:4になっているので、参考にしてみてください。
味噌汁の具材は、野菜、きのこ、海藻類など5~6種類入れましょう。様々な栄養素が摂れるだけではなく、低カロリーなのでたくさん食べても大丈夫。減量中は揚げ物や油の多いメニューを控えるため、物足りなくなりますが、具沢山の味噌汁で満足感も得られます。

詳しくはこちら→アスリートの基本の食事とは? | 酒田米菓 (sakatabeika.co.jp)



 減量のためには、食事の調整が必要ですが、身体に負担をかけたり、過度なストレスを溜めることは、減量の効果がでないだけではなく、パフォーマンスを下げる要因になったり、健康を害する恐れもあります。無理のない目標を立てて、自分にあった方法で実践しましょう。


参考

鈴木志保子,「理論と実践 スポーツ栄養学」,日本文芸社,2018
寺田新,「2020年版スポーツ栄養学最新理論」,(株)杏林舎,2020
体重階級制競技のウエイトコントロールガイドブック
(独立行政法人日本スポーツスポーツ振興センター国立スポーツ科学センター)