1. TOP
  2. コラム一覧
  3. 「食べること」とは
Column
噛む健康・カラダづくり

「食べること」とは

2023.3.10

  

「食べること」は、なぜ必要なのか?

  

「生きていくためのエネルギーを得るために必要だから」

私たち人間は、活動をしていくために食事として栄養素を摂り入れなければ活動していくことはできません。

でも、「食べる」ということはこの限りではないこともわかっています。

近年、「食育」が注目され、「食育」に関する活動や情報提供などが多く行われるようになってきました。

なぜ、「食育」が注目され始めたのでしょうか。
食事がただ単に活動のためのエネルギー補給だけではないからです。

「食育」とは、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と、バランスの良い「食」を選択する力を身に付け、健全な食生活を実践できる力を育むことです。

食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎と位置付けられるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育てるものです。

  

こうした「食育」がいま重要とされる背景には、近年、食に関連した様々な課題が浮上していることがあります。

例えば、栄養の偏りや不規則な食事などによる肥満や、それらが原因と考えられる生活習慣病の増加がみられます。また、若い女性を中心にみられる過度のダイエット志向に加え、高齢者の低栄養傾向等の健康面での問題も指摘されているところです。

また、食の安全や信頼にかかわる問題や、外国からの食料輸入に依存する問題など、食を取り巻く環境が大きく変化しています。

こうした中で、食に関する知識を身に付け、健康的な食生活を実践することにより、心と身体の健康を維持し、生き生きと暮らすために、食育を通じて、生涯にわたって「食べる力」=「生きる力」を育むことが重要になっているのです。

※上記は政府広報オンライン『「食べる力」=「生きる力」を育む食育 実践の環(わ)を広げよう(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201605/3.html)』をもとに酒田米菓株式会社作成 

 

 

つまり、食にまつわる知識を得ることは、心や身体の成長を守り、生涯にわたって充実した暮らしを送るために必要なことだということです。

それだけ食は私たちの人生と密接に関わっているということです。
好きなものを好きな時に食べられることはとても幸せなことです。

食は、QOL(生活の質)にも関わる大切なことです。

 

食べることには脳における食の記憶・判断やその時の全身状態や食欲、胃腸の調子、そして食べるために必要な身体部位の働きなどたくさんの要因が関わっています。一言で「食べる力」を表すと、「自分自身の意志で口から食物を摂りこみ、心理的な満足感とともに健康維持に必要な栄養を十分に得る力」といえるのではないでしょうか。

人生最期の時まで、自分らしく生きるために口から食べることができるよう元気な時から「食べること」を大切にしていきましょう。そして、いつまでも自分の意志で、口から食べられるよう「食べる力」を育て、維持していきましょう!

  

 

「食べること」には身体のどの部分が関わっている?

  

食べるときには、実にたくさんの器官が複雑に関係しあっています。

まずは、目や鼻、耳などを使って食べ物を認知します。
そして、食べ物を手などを使用し口に運び、唇や舌、歯を使って適量を口の中に取りこみます。次に、舌や歯、頬、口の周りの筋肉が細やかに協同しあい、食べ物を噛み砕き唾液とまぜ、飲み込める大きさ・硬さの食塊(食べ物の塊)を作ります。さらにその食塊を口の奥の方へと移動させ、ごくんと飲み込む準備をし、気道に入らないように喉から食道へと食塊を送ります。


この一連の流れを、摂食嚥下(せっしょくえんげ)と言います。

※摂食:食べ物を認知し食べること全般をさす。
 嚥下:飲み込むこと。食塊を喉(咽頭)から食道へ送り込むまで。

 

摂食嚥下には脳も大きく関わっています。

口から食べられなくなると、噛む力、舌を動かす筋力、食べ物を飲み込む嚥下の機能が低下し、誤嚥性肺炎(口から食道へ入るべきものが気管に入ってしまうことを誤嚥と言います。

誤嚥性肺炎は、唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症する肺炎)のリスクが上がり、覚醒レベルへも影響してきます。また、低栄養状態に陥ってしまうため、病気がちになったり、活動する体力や意欲がなくなったりと様々な部分で影響を及ぼします。(下図参照)

  

  

咀嚼機能は健康状態のバロメーター

 

食べる力を維持することは、健康寿命を維持する上で大切なことです。

年齢を重ねると、体の機能が徐々に衰えるのと同様に摂食嚥下機能も徐々に衰えます。
最近硬いものが食べにくくなったとか、水分を飲むときにむせやすくなったなどは、注意が必要です。

一番気が付きやすいのは、「咀嚼(噛むこと)」でしょう。

 

衰えに気が付かずにいると、やがては自分の意志で噛んで食べることが難しくなってしまいます。よく噛んで飲み込むことは、顎の発育や唾液の分泌、脳の活性、胃腸での消化吸収の補助など多くのメリットがあり、私たちは毎日噛んで食べることで、健康の保持・増進のため活動を無意識のうちに行っているからです。

健康寿命を維持するためにも、「咀嚼機能の低下」の兆候に早く気づき、「摂食嚥下機能の低下」や「フレイル」の予防、または早期からの適切な対応をしていきましょう。

子どもにとっても、咀嚼力を身につけることは重要なことです。

近年は、柔らかい食べ物や液体の食事が増え、1回の食事の咀嚼回数と食事時間を調べた報告によると、戦前の食事は1420回噛み、約22分だったのに対し、現代の食事は620回で約11分と、噛む回数、食事時間とも半分に減っています。

 

噛む力を育ててあげることで、将来、加齢による機能低下を予防、もしくは遅らせることができます。

また、噛むことは脳や身体の成長・健康増進などに良い影響がたくさんあります。

「食べる力」を育て、そして維持することは、人生に影響する重要なことだと感じています。だからこそ、酒田米菓では「噛むこと」ができるせんべいを、美味しく食べていただくことで心満たしながら、健康増進のためにお役にたつものになればと「Comefit(カムフィット)」というブランドを立ち上げました。

   

「Comefit(カムフィット)」についての詳細はこちら

「Comefit(カムフィット)って何?」

 

 

 

参考

1)政府広報オンライン『「食べる力」=「生きる力」を育む食育 実践の環(わ)を広げよう』

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201605/3.html(2023年8月10日利用)

2)農林水産省『みんなの食育/世代・ライフスタイル別トピックス 中高年男性編「ゆっくり食べる」』
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics4_02.html(2023年8月10日利用)

3)「死ぬまで噛んで食べる 誤嚥性肺炎を防ぐ12の鉄則」五島朋幸著(光文社新書)